第13回海外公演「ヨーロッパツアー2012」2012年3月11日(日) フィルハーモニー(ベルリン)大ホール
当楽団は2012年2月から3月にかけ「早稲田大学交響楽団 第13回海外公演 ヨーロッパツアー2012」を挙行いたしました。日本・ドイツ・オーストリーの3カ国13公演地を巡り、R.シュトラウス作曲「アルプス交響曲」などを取り上げ各地で絶賛されました。
また由谷一幾氏(当楽団OB)がこのツアーのために手がけた「和太鼓と管弦楽のための協奏曲」の世界初演も行い、和楽器とオーケストラとの見事なコラボレーションに対し、大きな拍手やスタンディングオベーションをいただきました。
ベルリン公演は、東日本大震災の発生からちょうど1年後の2012年3月11日に「東日本大震災追悼演奏会」の名を冠して行われましたが、これは震災発生以前から決められていた日程でした。当楽団でも団員本人や関係者などが被災し、2011年3月に予定されていた「第191回定期演奏会」も中止を余儀なくされました。このような意義深い日にベルリンで演奏会を行うということを重く受け止め、団員一同日本への思いを巡らせながら、遙かドイツ・ベルリンの地で演奏いたしました。なおこのベルリン公演では前回海外公演に引き続き、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団専属のインターネット放送である「デジタルコンサートホール」で全世界に生中継されました。
ヨーロッパツアー2012 新聞評
■フランクフルト・アム・マイン公演
日本のオーケストラがきわめて規律よく演奏するだろうということは事前に予想がついた。しかし、この若き演奏家たちが「アルプス交響曲」においてこれほどに圧倒的な音響のパノラマを―見事な金管パートでもって!―展開したことには、仰天させられるほかなかった。その上山下一史氏は、茂みのように〔複雑に〕なっているスコアでも、わざとらしい音響のワイドスクリーンのなかで「溺れている」わけではないことを、その厳格な指揮で示していた。
(Frankfurter Neue Presse, 24. Febr. 2012)
■ライプツィヒ公演
70人の弦パートで演奏される「アルプス交響曲」をどこで聞いたことがあるだろうか? いっそう印象的なことは、山下一史氏がここでまったく独自の具象的な音響像を形成するのに用いているエレガントさと精確さである。この山下氏のシュトラウスは一再ならず愛されるに違いない、実際にこれには夢中にさせられるからだ。ここですべてにわたって提示された完全性は、心地よく適度に調合された官能性と両立しないわけではない。山下氏はシュトラウスを暗譜で指揮したのだが、彼の指示出しの明瞭さには驚かされざるをえない。統一のとれた弦パート、輝かしい金管パート、打楽器パートの駆動力――これ以上に感動させられるものがどこにあるのか、分からないほどだ。これは「ティル・オイレンシュピーゲル」でも変わりない。贅の限りを尽くして心地よいほどに新鮮なシュトラウス像だ。
(Leipziger Volkszietung, 24. Febr. 2012)
■バイロイト公演
~ミスのないフルート独奏~
モーツアルトのフルート協奏曲第二番ニ長調は〔アルプス交響曲とは〕まったく異なっていた。朗らかで楽しい作品であった。このオーケストラは任務において自らに熱を込めてかつ完全に表現し、動機を軽快に表現することに成功した。賞賛は、もちろんフルート独奏者の飯島奈央にも捧げられた。彼女はほとんどミスがなく技巧的にも熟達した演奏とすばらしい立ち居振る舞いとによって、聴衆を納得させたのだ。
(Oberpfalznetz, 29. Febr. 2012)
■オーバーハウゼン公演
最後の曲として“クラッカー”が。これは、今回のツアーで初演された由谷一幾氏の作曲による「和太鼓と管弦楽のための協奏曲」であった。由谷氏は会場にいて自ら拍手を受けることができた。〔この曲の〕最初は日本古来の儀式音楽を思い起こさせながら、リズムはたえず「近代的」で攻撃的になって、狂騒的終焉にまで昇り詰める。
アンコールとして、日本人である滝廉太郎のロマンチックな「荒城の月」が、繊細な音色で奏でられるオーボエのソロを伴って、物思いにふけるように演奏された。その後、再び和太鼓を伴って、小刻みにたたくサンバが演奏されたが、それは聴衆の全身を貫いたので、もう一度演奏されねばならないほどだった。スタンディング・オベーションだった。
(NRZ, 15. March. 2012)
公演概要
■公演スケジュール
日程 | 公演地 | 指揮 | 会場 |
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2月22日(水) | フランクフルト
Frankfurt am Main
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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アルテ・オパー
Alte Oper
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2月23日(木) | ライプツィヒ
Leipzig
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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ゲヴァントハウス
Gewandhaus
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2月25日(土) | バイロイト
Bayreuth
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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シュタットハレ
Stadthalle
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2月28日(火) | ザルツブルク
Salzburg
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田中雅彦
Masahiko Tanaka
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祝祭大劇場
Grosses Festspielhaus
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3月1日(木) | クラーゲンフルト
Klagenfurt
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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コンツェルトハウス
Konzerthaus
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3月3日(土) | ウィーン
Wien
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田中雅彦
Masahiko Tanaka
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楽友協会
Musikverein
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3月6日(火) | ミュンヘン
Munchen
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田中雅彦
Masahiko Tanaka
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ガスタイク
Gasteig
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3月7日(水) | ニュルンベルク
Nurnberg
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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マイスタージンガーハレ
Meistersingerhalle
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3月8日(木) | ホイヤースヴェルダ
Hoyerswerda
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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ラウズィッツハレ
Lausitzhalle
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3月11日(日) | ベルリン
Berlin
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田中雅彦
Masahiko Tanaka
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フィルハーモニー
Philharmonie
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3月13日(火) | オーバーハウゼン
Oberhausen
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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ルイゼ・アルベルツ・ハレ
Luise-Albertz-Halle
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3月15日(木) | ウィースバーデン
Wiesbaden
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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クアハウス
Kurhaus
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3月20日(火) | 東京
Tokio
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山下一史
Kazuhumi Yamashita
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サントリーホール
Suntory Hall
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■公演期間
2012年2月22日~2012年3月20日
■随行指揮者
■演奏曲目
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- R.シュトラウス / アルプス交響曲 作品64
- R.シュトラウス / 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
- 由谷一幾 / 和太鼓と管弦楽のための協奏曲
- モーツァルト / フルート協奏曲第2番 ニ長調 K.314
フルート独奏:飯島奈央(当楽団フルート奏者) - ワーグナー / 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
- ウェーバー(ベルリオーズ編) / 「舞踏への勧誘」作品65
- 滝廉太郎(三枝成彰編) / 荒城の月
- 外山雄三 / 管弦楽のためのラプソディ
- リンケ / ベルリンの風