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ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
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ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋……。皆様はどのような秋をお過ごしでしょうか。

今回は「芸術の秋」にちなんで、ある楽劇(オペラ)を紹介したいと思います。

オペラというと、言語の壁がある、気軽に鑑賞できない、身近でない、といった理由から日本では敷居の高いジャンルとしてみなされ、純粋な器楽音楽である交響曲や交響詩などの管弦楽曲の方が馴染み深く人気も高いのが現状です。しかし、オペラは演劇・台本・舞台・衣装・照明など様々な要素が凝縮した総合的な舞台芸術であり、すぐさま鑑賞者を虜にしてしまう魅力を持っています。そして、ワーグナー作曲 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(以下「マイスタ」)こそ、入門編というべき最も親しみやすいオペラの一つであるといえます。

 

概観

「マイスタ」は16世紀のドイツ、ニュルンベルクに実在したハンス・ザックスという人物を中心とした物語です。先に結論から申し上げますと「ハッピーエンド」です!ワーグナーのオペラ作品のほとんどは神話や伝説など、非現実的な事物を題材とした悲劇ですが、この作品は歴史をもとにした喜劇であることが特徴といえます。

そもそも「マイスタージンガー」とは、中世南ドイツにおいて、手工業の親方で同時に作詞作曲家や歌手として師匠格である者に与えられる称号であり、ザックスもその1人でした。ワーグナーは、ものづくりの傍ら自らの芸術にも情熱を注ぐ彼らに焦点を当てることで、ドイツ芸術の永遠の素晴らしさを表現したのです。このことは原題”Die Meistersinger von Nürnberg” (独)を見てみるとより明らかとなります。dieは、複数の名詞にかかる冠詞、von は英語のfromと同じなので、直訳すると「ニュルンベルクの親方歌手たち」となります。つまりこのタイトルはザックス1人のことだけでなく、ニュルンベルク全体の親方たち、ひいてはドイツ芸術のことを意味しているのです。

リヒャルトワーグナー

全3幕・上演時間は4時間超と、非常に長大な作品ではありますが、ストーリーはいたって単純明快なものになっています。主要な登場人物とあらすじは以下の通りです。

登場人物

ハンス・ザックス

靴屋親方でマイスタージンガ―。多くの市民たちから一目置かれる。エーファへの愛を諦めるがヴァルターの新しい芸術を認めている。

ヴァルター

青年騎士。エーファに恋をしつつマイスターを志している。

エーファ

金細工師の娘。ヴァルターが歌合戦で勝利し、互いに結ばれることを願っている。

ベックメッサ―

ユダヤ人の書記親方でマイスタージンガ―。密かにエーファに思いを寄せており、狡猾な性格でヴァルターを敵対視している。

ダヴィド

ザックスの徒弟。マグダレーネと相思相愛である。

マグダレーネ

エーファの乳母。ダヴィドと相思相愛である。

 

ハンス・ザックスの肖像画(16世紀に実在したマイスタージンガー)

あらすじ

第1幕

舞台は聖カタリーナ教会。地方からニュルンベルクにやってきたヴァルターとエーファが出会い恋に落ちるが、「明日のヨハネ祭での歌合戦で優勝した者がエーファと結ばれる」ことをマグダレーネから知らされる。同時に、その歌合戦に参加するにはマイスタージンガ―の資格が必要であることもダヴィドから知る。ヴァルターはエーファとの結婚を勝ち取るべく歌合戦への出場を決意する。

ヴァルターはさっそく資格試験を受けるものの、審査員であるマイスターたちのうち、ベックメッサ―はエーファに対して思いを寄せているため、ライバルのヴァルターに敵意を抱き、大減点をおこない落第を宣言する。「失敗だ!」とマイスターたちが騒ぐ中、ザックスだけがヴァルターの歌唱の魅力や可能性を悟るのだった……。

第2幕

舞台は歌合戦前夜、ザックスの家の近くの街角。ヴァルターの結果を知ったエーファが悲しんでいる。ザックスはヴァルターの受験歌が、歌の規則には外れながらも見事であったことを回想する。エーファはヴァルターへの愛情と同情から駆け落ちを試みるが、2人の会話をこっそり耳にしていたザックスが制止し、靴づくりを始める。

そこへベックメッサ―が現れ、歌合戦の前日にあらかじめエーファの心を掴んでおこうと、エーファの家の窓下でセレナーデを歌い始める。しかし実は家にいるのはマグダレーネであり、それに気づいたダヴィドはベックメッサ―がマグダレーネに言い寄っていると思い込み殴り合いが始まる。これがきっかけで町中が大騒ぎとなってしまうが夜警の角笛が吹き、再び静寂に包まれる。

 

第3幕

ザックスはかねてからエーファを再婚相手として密かに思いを寄せていたが、それは煩悩だったと悟り、ヴァルターに作詞や歌唱の手ほどきをしようと決心する。不思議な夢を見たというヴァルターにその夢をもとにした歌を作るよう提案する。そうしてできた歌の紙片をたまたまベックメッサ―が見つけ、ザックスが作詩したと思い込み、さらには歌合戦に出場するのではないかと邪推してしまう。そこでザックスはその紙片をあげるとベックメッサ―は彼の歌なら間違いないと、上機嫌になって去っていく。

いよいよ歌合戦が始まると、最初に登場したベックメッサ―は歌詞がうろ覚えだったため失敗し、聴衆から笑いものにされる。すぐにザックスのせいだと言い訳を始めるが、ザックスは真の作詩者であるヴァルターを登場させる。ヴァルターは見事歌い上げ、場にいた者全員から称賛を浴びる。

ヴァルターにマイスターの称号を与えようとするが、疑いの念を持つヴァルターは一度拒否する。しかしザックスが「マイスターを蔑ろにしてはならない」とヴァルターを諭し、伝統芸術の素晴らしさを説いた。それにより納得したヴァルターはマイスターの称号を獲得し、晴れて歌合戦の優勝者としてエーファと結ばれる。全員がザックスとドイツ芸術の永遠の素晴らしさを讃え、歓喜のうちに幕となる。

第一幕への前奏曲と「ライトモチーフ」

この作品の一番最初に演奏される曲で、皆様もTVCMなどで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ワーグナーは、台本の構成が思いつく前にこのハ長調の前奏曲の主要部が鮮やかに脳裏に浮かんだそうです。ちなみに、ハ長調という調性は「ドイツの調性」と呼ばれています。非常にドイツ色の強い内容であるこの楽劇にとって、ハ長調で始まるのは必然だったのかもしれませんね。

この前奏曲には、「マイスタ」の見どころが凝縮されているといっても過言ではありません。というのも、4時間を超える劇のダイジェスト版としての役割を果たしているからです。

ワーグナーは自作の劇音楽でしばしば「ライトモチーフ」(独: Leitmotiv)(示導動機)と呼ばれる斬新な作曲技法を用いています。「示導動機」といっても分かりづらいと思うので、「特定の何かと結びつけられる音楽」と考えていただければ問題ございません。特定の何かとは、登場人物・情景・感情など、何でも当てはまり、それが登場あるいは言及されるたびに繰り返し演奏されます。これにより、音楽に統一感が生まれ、従来の歌劇に比べ説得力を持つようになりました。さらに、ライトモチーフを前奏曲に用いることで予告編としての機能がより一層強まり、幕に入ったとき「あの旋律がここでも使われている!」と観客が気づくという効果があるのもメリットの一つといえます。

それでは、実際にどのようなライトモチーフが前奏曲に使われているのか見ていきましょう。

①マイスタージンガーの動機

冒頭から全員で演奏される、最も重要な動機です。マイスタージンガーの威厳を表す動機として幾度となく登場します。

冒頭から全員で演奏される、最も重要な動機です。マイスタージンガーの威厳を表す動機として幾度となく登場します。

①マイスタージンガーの動機

②求愛の動機

ヴァルターのエーファへの思いを表した動機で、フルートやクラリネットによって演奏されます。第1幕の出会いの場面でも使われています。

②求愛の動機

③マイスタージンガーの行進の動機

ファンファーレ風の旋律で、第3幕の歌合戦のシーンで使われているのが印象的です。

③マイスタージンガーの行進の動機

④マイスタージンガーの芸術の動機

クライマックスの場面でザックスがドイツ芸術の素晴らしさを説く場面などで使われています。

④マイスタージンガーの芸術の動機

⑤愛の動機

ヴァルターの優勝歌で、②よりも強い愛情を表現しています。

 

⑤愛の動機

⑥情熱の動機

ヴァルターの歌に取り組む姿、エーファへの愛を表現しています。

⑥情熱の動機

⑦嘲笑の動機

第3幕で、ベックメッサ―に対する聴衆の嘲笑の声として用いられ、低弦などで演奏されます。

⑦嘲笑の動機

参考文献

吉田真 『人と作品シリーズ ワーグナー』音楽之友社 2004年
『最新名曲解説全集 18巻 歌劇Ⅰ』音楽之友社 2002年
高木卓 zen-on score『ニュルンベルクのマイスタージンガー 第1幕への前奏曲』全音楽譜出版社 2018年
東京春祭 「連載《マイスタージンガー》講座」Vol.1 〜 4
http://www.tokyo-harusai.com/news/news_1380.html

 

(文責:Pc.3 鈴木健士郎)

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