ワセオケ クラシック風説書:vol.7
ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調作品92
名曲に挟まれた傑作
ベートーヴェンの交響曲といえば何番でしょう。第5番「運命」、第6番「田園」、そして第9番「合唱付き」……前後の交響曲が有名すぎるけれど、その間の交響曲第7番を忘れてもらっちゃあ困ります(もちろん第8番も)。第7番は「のだめカンタービレ」をはじめとして数々の映画やドラマにも使われている超ポピュラーな曲です。どこかで耳にしたという人も多いのではないでしょうか。
公開初演が行われたウィーン大学(現オーストリア科学アカデミー)講堂
リズムが主役の交響曲
第7番は概ね古典的な形式で作られ、楽器編成も通例通り。型破りだった第5番、第6番に対して一見地味にも思えます。しかし実際は、全楽章がダンス・ビートで構成されていて、リズムが前面に押し出された斬新な曲なのです。音楽家のワーグナーはこの曲を「舞踏の聖化」と呼んで絶賛したのは有名な話です。一つのリズムがしつこいほどに繰り返され、けれども全然嫌味な感じではなく、むしろ聴く人をどんどん曲に夢中にさせるというのは、ベートーヴェンならではだと感服します。リズムが存分に活用された交響曲第7番はもしかしたらクラシック音楽で一番ノれる曲なのかも知れません。
おすすめ音源
カルロス・クライバー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1976年)
Spotify:
Apple music:
https://music.apple.com/jp/album/beethoven-symphonies-nos-5-7/880709749
(トラック番号5-8)
(Cb.2 西脇理朗マーク)